犬
仕事から最寄駅について最初の十字路を曲がるとすぐ、ミルクティー色のトイプードルと目が合った。
目が合った瞬間、満面の笑顔を見せ(犬が笑うのかは知らないが私にはそう見えた)、しっぽを振って私の方に歩んできた。
飼い主さんに許可を取って撫でさせてもらうと、地面にごろりと仰向けなり、おなか全開に。
私が全身を撫でると、笑顔でこちらをみながら、前足を私の腕に絡めたりして戯れてくる。
あー。可愛い。本当に可愛い。私が犬に感じる可愛さは尋常じゃない。心臓がドキドキする。これは何を意味するんだろう。
しゅう君と名付けられたその犬に「しゅう君ありがとう!またね!」と別れを告げた時、飼い主さんが高揚した様子で「こちらこそありがとうございました!」と言った。まるでしゅう君がその飼い主さんに乗り移ったかのように。